喧嘩屋土門
拳を握り締め、雲竜に殴りかかる土門。

その動きは猪突猛進。

雲竜は避けるでもなく棒立ちになっている。

その肥えた腹に。

「おらぁっ!」

拳がめり込むものの。

「温ィな」

歯茎を剥き出しにして雲竜が笑う。

その左手が振り上げられ。

「うわったぁ!」

咄嗟に身を低くした土門の髪の毛を、強烈な風圧が掠めていった。

雲竜の平手打ち。

あれを食らった奴の手下が、二目と見れない顔になったのを目の当たりにしたばかりだ。

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