白い翼と…甘い香り

「こんなに、誰が着るの?」

「ん~、服買うの趣味だから」

呆れた私に、和也はまた
照れたように笑った。

柔らかく笑う
無邪気な笑顔は

抱き締めたくなるくらい
本当に可愛い笑顔だった。



「香水、ここにある」

「こんなに、あるの?」

「そんな多くねぇよ」

とてもキレイな形をした
色んな色の瓶が
6本くらい並んでた。


すぐ横には、シルバーの指輪を
たくさん並べてあって

太めのシンプルな物を
手にとって入れてみたけど
私には、親指でも緩かった。

和也は横で
そんな私を見て笑っていた。


あとは皮のブレスレットとか
とにかく女の私には
あまり縁がないような

ゴツイ感じのアクセサリーに
占領された棚の隅っこに

香水の瓶だけは透き通って
柔らかい印象が何だかキレイで

私にも
見慣れてるような物に感じた。




「どれだか、分かる?
匂ってみ?」

和也がつけていた香水を
当ててみろと言う。


迷いながら
1つ瓶を手にとって

吹き付ける事はしないで
蓋だけを外して匂ってみた。


見た感じの印象で1番
シンプルな瓶を最初に手に取り

ゆっくりと
香りを吸い込んでみると


「これだよね、違う?」

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