白い翼と…甘い香り
細長いシンプルな四角のビンに
四角いシルバーの蓋
瓶の部分は
中の液体が透けて見えて
黄色いような金色のような
そんな色に見えていた。
何となくそのシンプルな感じが
好きだと思ったのは
間違いじゃなかったみたいで
「正解、いっぱつで当てたな
やるじゃん」
「やっぱり
この香りだよね?」
「そうだよ
そういうの好きなの?」
「ん…、好きとかじゃなくて
これはもう
和也の匂いって気がして」
「そう?」
「うん、いい匂い
あぁ~、和也の匂いだぁ~
って思うの。何か、安心する」
「そんなもん?」
「だって
ドアを開けた瞬間から
香ってきたから」
私は持っていた瓶を
元の場所に並べて
他の香水も手にとって
香ってみた。
でも、やっぱり違う。
どれも、ぜんぜん違う。
それぞれに
とても特徴のあるいい香りで
嫌いな物は無かったけど
和也の香りじゃない。
そうやって
1つ1つ手に取る私を
和也は少し後ろで
腕を組んで
足を交差するように立って
壁にもたれた姿勢で
じっと微笑みながら見ていた。
私から見ると
すぐ横には大きな姿見があって
その鏡に映し出される
和也を見ていた。
和也も、鏡に映る私を
見ていたのかも知れなくて
鏡越しに目が合うと
フッと目を反らすようにして
とても暖かい表情で
微笑んでいた。