白い翼と…甘い香り

「いつから、行くの?」

そう聞きながらも
声が震え出しそう。


隣の部屋で
アナタは

何をしてるんだろう…?

何を思っているだろう。


明日の計画を練って
逢えることを楽しみに

笑っているのかしら?



私のことを、少しは

思ってくれている?





「来月の5日には向こうで
土地の測量が始まるんだ。

買収に手間取った部分もあって
計画は遅れ気味だから
月が変わったらすぐに行く。

現場を見なければ
何も出来ないからな」


主人が仕事に取り組む姿は
とても誠実で真面目だと思う。

適当な事はしないし
地形を図面でだけ確認して
作業するなんて事は
絶対にしない。

土を掘り返して
地質で強度を調べたり

回りの景色に
馴染むよう考えたり

日当たりを
ゆっくり観察してから
窓の位置を決めるんだと

そんな事を口癖のように
言っていた事もある。



夢を持って
自分の仕事を語る姿を

出会った頃は
好きだと思っていた。

そんな姿に
惹かれた部分もあった。



でも、あと
20日も無い…

早すぎる
じゃない…


私には後
それだけの時間しか

ないの…?




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