LITTLE
「啓太郎さん、頑張ってください。私も頑張りますから」
「そうよ。啓太郎は、もう三十路を過ぎてるんだから。博美だって、若いからって調子にのってたら、すぐに私みたいになっちゃうわよ」
「そんな! 香奈さんは、まだまだ綺麗ですよ!」
さすが博美だ。
嬉しい事を言ってくれる。
「お世辞でも嬉しいわ。ありがとうね」
「そんな事ないと思いますよ」
落ち着いていて綺麗な声。
横から話に入ってきたのは、啓太郎の彼女さんだった。
「平井香奈さん? ですよね。啓太郎からよく話は聞いています」
「あ、どうも」
「啓太郎の言う通り、やっぱり綺麗ですね。羨ましいです」
「え? 啓太郎?」
彼は少しだけ赤面して、私達から目を反らす。
「啓太郎、話があるの」
「ん? な、何?」
彼女は一つ息を吐いて、私達の前で言い放った。
「そろそろ結婚の事、考えたい」
恥ずかしそうに私から顔を背けていた彼の表情が活気付く。
それは驚きや喜びに満ちた……そう、幸せそうに笑っていた。
「本当に?! でも、どうして急に」
「私、知ってるから。啓太郎が結婚の事で悩んでるの。もう三十路過ぎなんだから、ね?」
「うん! そうだよ! そうだね! 一緒に頑張ろう!」
啓太郎は彼女の手をカウンター越しから握る。
その時、彼女は笑っていた。
まだ知り合って間もなかったけれど、表情に上下のないクールな彼女よりも、やっぱりこっちの笑った顔の方が可愛いなぁ、と私は思った。
彼女の啓太郎への結婚話の告白を祝うかの様に、外では打ち上がる花火の音が聞こえてきた。
さて、今からが私の今日一番の頑張り時だ。
「じゃあ、私はそろそろ行くわね」
「香奈さん、どうして? まだお酒も飲んでないじゃないですか」
「いや……その、優子達とも約束があるから」
博美や啓太郎を誤魔化して、私は打ち上がる花火とは逆方向へ歩いた。
大勢の人が向かう逆方向へ。
露店や提灯が並ぶ通りとは逆方向へ。
「そうよ。啓太郎は、もう三十路を過ぎてるんだから。博美だって、若いからって調子にのってたら、すぐに私みたいになっちゃうわよ」
「そんな! 香奈さんは、まだまだ綺麗ですよ!」
さすが博美だ。
嬉しい事を言ってくれる。
「お世辞でも嬉しいわ。ありがとうね」
「そんな事ないと思いますよ」
落ち着いていて綺麗な声。
横から話に入ってきたのは、啓太郎の彼女さんだった。
「平井香奈さん? ですよね。啓太郎からよく話は聞いています」
「あ、どうも」
「啓太郎の言う通り、やっぱり綺麗ですね。羨ましいです」
「え? 啓太郎?」
彼は少しだけ赤面して、私達から目を反らす。
「啓太郎、話があるの」
「ん? な、何?」
彼女は一つ息を吐いて、私達の前で言い放った。
「そろそろ結婚の事、考えたい」
恥ずかしそうに私から顔を背けていた彼の表情が活気付く。
それは驚きや喜びに満ちた……そう、幸せそうに笑っていた。
「本当に?! でも、どうして急に」
「私、知ってるから。啓太郎が結婚の事で悩んでるの。もう三十路過ぎなんだから、ね?」
「うん! そうだよ! そうだね! 一緒に頑張ろう!」
啓太郎は彼女の手をカウンター越しから握る。
その時、彼女は笑っていた。
まだ知り合って間もなかったけれど、表情に上下のないクールな彼女よりも、やっぱりこっちの笑った顔の方が可愛いなぁ、と私は思った。
彼女の啓太郎への結婚話の告白を祝うかの様に、外では打ち上がる花火の音が聞こえてきた。
さて、今からが私の今日一番の頑張り時だ。
「じゃあ、私はそろそろ行くわね」
「香奈さん、どうして? まだお酒も飲んでないじゃないですか」
「いや……その、優子達とも約束があるから」
博美や啓太郎を誤魔化して、私は打ち上がる花火とは逆方向へ歩いた。
大勢の人が向かう逆方向へ。
露店や提灯が並ぶ通りとは逆方向へ。