LITTLE
Our Father who art in heaven, hallowed be thy name.
Thy kingdom come.
Thy will be done on earth as it is in heaven.
Give us this day our daily bread, and forgive us our trespasses, as we forgive those who trespass against us, and lead us not into temptation, but deliver us from evil.
For thine is the kingdom, and the power, and the glory, for ever and ever.
Amen.

 天にまします我らの父よ
願わくは
み名をあがめさせたまえ
み国を来たらせたまえ
み心の天に成る如く地にもなさせたまえ
我らの日用の糧を今日も与えたまえ
我らに罪を犯す者を我らが赦す如く我らの罪をも赦したまえ
我らを試みに遭わせず悪より救い出したまえ
国と力と栄えとは限りなく汝のものなればなり
アーメン



 ミサが終わった後、聖体という食べ物が配られ解散となる。
 聖体というのは、見た目も食感も小さな白いパンで、味は全くない。
 神父さんの話では、これはイエス様の体の一部であり、食す事によって彼の人生を私達の体に刻み込む事を意味しているらしい。
 一口で食べられるから、味はなくてもあまり苦ではない。
 綾瀬は違うようだが。
「ゲッ、味なしパン」
 隣で、綾瀬は手にした聖体を見て嫌そうに顔を歪める。
「我慢しなよ。ほんの一口だよ。こんなのすぐ食べられるでしょ」
「でもなぁ……」
 正直、聖体は私も苦手だ。
 イエス様の一部とか、よく分からない事とか抜きで、味のしない物を食べるっていうのは、なんだか薬を飲まされている様で良い気はしない。
「綾瀬さんは、聖体は苦手でしたか?」
 長身な神父さんは、私達の身長に合わせて少しだけ屈む。
「しっかり食べないと、罰があたりますよ。聖体だけではなく、お母さんが作ってくれるご飯も、学校の給食も」
 笑顔で語り掛ける神父さんに答える様に、綾瀬は聖体を口に放った。
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