LITTLE
「そういえば、啓太郎は憶えてる? 会社に勤め始めた皓が、仕事で遅れて来た夏祭り」
「憶えてるよ。あいつ、仕事で夏祭りに遅れても、全力疾走で俺達の所に駆けて来てくれたからなぁ」
「それで、皓だけが花火を見逃しちゃって。啓太郎は『花火の代わりに星を見ろ』って、天体望遠鏡を担いで私と皓を川沿いの土手に連れ出したと思うと、私と皓だけ取り残して行っちゃって」
「なかなか粋な事しますねぇ」
にやつく校長先生を前に、啓太郎は私達から目を反らして、照れた様に頬をぽりぽりと掻く。
「まあ、僕も香奈達を見ているだけで満足しちゃってたんで。たしか、その時だよな? 優子ちゃんがお腹にいるって皓に言ったのは」
「うん。その後に両親の家を離れて、二人で優子と過ごして……私達って、いろんな人達に迷惑を掛けちゃったわね」
友達にも両親にも。
「でも、楽しかったよ」
迷惑を掛けられた筈の彼が、そう言ってくれた。
「そんな事があったから、今があるんだよ」
「うん」
「今まで僕達がしてきた事とか全部、忘れないで信じようよ。去年の夏祭りの時、皓が言ってたじゃん」
そう。
あの日の夜、皓は言っていた。
『また来年の夏、皆で来ような』
信じてみよう。
今まで私達がしてきた事。
皓の事。
家に着いた頃には、深夜の三時を回っていた。
勿論、優子と麗太君はとっくに寝ている。
リビングの電気を点け、バッグをソファの上に置き、一杯のコップに水を汲んで一気に飲んだ。
「はぁ」
かなり酔いが回っている様で、頭がクラクラする。
帰る少し前に、いきなり飲み過ぎたみたい。
とりあえず、シャワーだけ浴びておこう。
だらしない格好でソファーなんかに寝ているところを、麗太君に見られるわけにはいかないし。
「憶えてるよ。あいつ、仕事で夏祭りに遅れても、全力疾走で俺達の所に駆けて来てくれたからなぁ」
「それで、皓だけが花火を見逃しちゃって。啓太郎は『花火の代わりに星を見ろ』って、天体望遠鏡を担いで私と皓を川沿いの土手に連れ出したと思うと、私と皓だけ取り残して行っちゃって」
「なかなか粋な事しますねぇ」
にやつく校長先生を前に、啓太郎は私達から目を反らして、照れた様に頬をぽりぽりと掻く。
「まあ、僕も香奈達を見ているだけで満足しちゃってたんで。たしか、その時だよな? 優子ちゃんがお腹にいるって皓に言ったのは」
「うん。その後に両親の家を離れて、二人で優子と過ごして……私達って、いろんな人達に迷惑を掛けちゃったわね」
友達にも両親にも。
「でも、楽しかったよ」
迷惑を掛けられた筈の彼が、そう言ってくれた。
「そんな事があったから、今があるんだよ」
「うん」
「今まで僕達がしてきた事とか全部、忘れないで信じようよ。去年の夏祭りの時、皓が言ってたじゃん」
そう。
あの日の夜、皓は言っていた。
『また来年の夏、皆で来ような』
信じてみよう。
今まで私達がしてきた事。
皓の事。
家に着いた頃には、深夜の三時を回っていた。
勿論、優子と麗太君はとっくに寝ている。
リビングの電気を点け、バッグをソファの上に置き、一杯のコップに水を汲んで一気に飲んだ。
「はぁ」
かなり酔いが回っている様で、頭がクラクラする。
帰る少し前に、いきなり飲み過ぎたみたい。
とりあえず、シャワーだけ浴びておこう。
だらしない格好でソファーなんかに寝ているところを、麗太君に見られるわけにはいかないし。