LITTLE
 ベランダに洗濯物を干して、昼は昨日の夕飯の残り物で済ませた。
 小学校が夏休みであっても、私にとってはいつも通りだ。
 取りこんだ後に、ソファの上に重ねておいた昨日の分の洗濯物。
 優子の分と麗太君の分だ。
 後で箪笥に仕舞わせるのに、二人の部屋の前に置いておこう。
 そう思い、重ねておいた二人分の服を二階へ持って行くと、優子の部屋のドアが開いているのが真っ先に目に付いた。
「閉めるの忘れちゃったのかな? 部屋のドアは閉めておいてって、いつも言ってるんだけどなぁ」
 部屋の前に優子の分の服を置き、ドアを閉めようとした。
 その瞬間、部屋の真ん中に落ちている何かに、私の目は釘付けになった。
 何か、というよりは、もう明確な答えは見てすぐに出るものの、それが本来であれば何であるかは、一見すると動物に例える事が出来る物。
 柔らかく白い布に印刷された可愛いパンダの顔。
 それがジッと、部屋の真ん中から私を見ている。
 そう、パンダだ。
 しかし、ただのパンダではない。
 柔らかい布地……。
 優子のパンツだ。
 部屋に入って、それを拾い上げる。
「そういえば、あの子……まだ、こんな動物さんパンツ履いてるんだっけ……」
 それにしても、どうしてここにパンツが?
 内側を見ても、臭いを嗅いでも、特に違和感はない。
 履いた後ではない様だ。
「ていうか、何やってるんだろう……私」
 娘のパンツの臭いを嗅ぐって……変態か、私は……。
 優子は麗太君と学校のプールへ遊びに行った。
 部屋の中央に置かれたパンツ。
 優子の事だから、服の下に水着を着て行った筈だ。
 学校の授業で水泳がある日も、そうだったから。
 じゃあ、このパンツは……。
 持って行く筈が、ここに置いて行ってしまったのだろうか。
 いや、もしかしたら只、ここに置いてあるだけかもしれない。
 いや、でも本当にパンツを家に忘れていたとして、その後ノーパンで家に帰って来るとか洒落にならないし、麗太君にも妙な影響が……。
 水着から服に着替える時に下着がなかったとして、優子の事だから焦りと動揺を隠せないんだろうなぁ。
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