絶対、逃がさない!(短編)
 言い捨てて、勢いよく滑り台から滑り降りた。

 地面に足をついてから、そのまま、止まることなく駆け出した。

 しっかりと右手に四葉のクローバーを握り締めたまま、じぶんちの、マンションへ。

 泣きじゃくる陽菜を置き去りにしたまま。



 家に帰って、自分の部屋。

 握り締めてきた四葉のクローバーを見て、我知らずため息が出た。

 ひどく胸が苦しい気持ちになった。

 罪悪感だ。陽菜の泣き顔が頭に浮かんで消えない。



「・・・」



 おれは、机の上に乱雑においてあったクレヨンの箱をとった。

 色画用紙を手に取る。

 工作が大好きだった、おれ。

 ちょきちょきとはさみで紙をきって、クレヨンを手に取る。




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