絶対、逃がさない!(短編)
陽菜が手をのばす。
おれはひょいっとかわして、走った。
陽菜が嫌いな高いところ、滑り台の上に逃げた。
「返して! 光くん」
下から、泣き声で陽菜が言う。
高いところは苦手なんだ、陽菜は。年少のときに、おれがジャングルジムに置き去りにしたせいなのは間違いないが。
上から顔をだして見てみると、陽菜はほんとに泣いてた。
大きな瞳から、ぽろぽろぽろぽろ、涙が零れ落ちてた。
ずきんと胸の奥でなにかが痛みを訴えたが、おれはそれを無視した。
「いやだね! 絶対、返さない!」
おれはひょいっとかわして、走った。
陽菜が嫌いな高いところ、滑り台の上に逃げた。
「返して! 光くん」
下から、泣き声で陽菜が言う。
高いところは苦手なんだ、陽菜は。年少のときに、おれがジャングルジムに置き去りにしたせいなのは間違いないが。
上から顔をだして見てみると、陽菜はほんとに泣いてた。
大きな瞳から、ぽろぽろぽろぽろ、涙が零れ落ちてた。
ずきんと胸の奥でなにかが痛みを訴えたが、おれはそれを無視した。
「いやだね! 絶対、返さない!」