絶対、逃がさない!(短編)
「私たちの子供の頃はね、四葉のクローバーといえば、根性と根気で探し出したものだけれどね・・・今は違うわよ」

「?」

「今は売ってるのよ。

 お花屋さんとかでも四葉のクローバーだけの観葉植物なんかもおいてるところもあるし、そうそう、雑貨屋さんとかいけば・・・可愛らしい容器に入った、栽培キットなんかもあるのよねぇ。

 時代は変わったわ」



 遠い目をして言う母さんに、おれは飛びつくようにいった。



「まじで! それ、どこに売ってるわけ!」


 それいい、本気でいいじゃないか?

 仲直りの品にはばっちり。



 唖然としている母さんにどこに売っているかを聞き出した。

 場所は・・・男には敷居の高い、高すぎる・・・とても可愛らしい雑貨屋さんだった。

 買い物客は、主婦とか女の子とか・・・ばっかりで・・・はいりづらい、回れ右したい。

 でも、おれは根性で耐え抜いた。



 可愛らしいちいさなサボテン、観葉植物が並べられているすぐそばにそれはあった。

 キャセロールやポットの形をした入れ物の中に、培養土と種が入っているみたいだ。

 ほかにも小さな植木鉢の形をしたものもある。



< 30 / 35 >

この作品をシェア

pagetop