絶対、逃がさない!(短編)

 家に帰ってから、押入れの奥を捜索。

 ほこりとともに取り出した百科辞典をぺらぺらとめくっていく。



「あった」



 それは時の流れの中で茶色く変色してしまってはいたけど、そこにあった。

 四葉のクローバー。



「あら?」



 いきなり、背後から声をかけられてぎょっとする。



「うわ!」

「それ、四葉のクローバー?」



 いつの間に妖怪のように背後ににじり寄っていたのか、母さんが後ろから覗き込んでいた。



「古いわね。変色してる」

「いいだろ、べつに。いきなり背後に現れるなよ、こえぇよ」

「なによ、人をおばけみたいに。
 
 がさがさと帰るなり、家捜ししてるから何してるかと思ったのよ。

 ・・・そうそう」



 母さんが腕を組んでいった。






 
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