プラチナ
本当は私の母親のバイオリン。

一番気に入っているもので、これで弾いた時は自分で一番納得のいく演奏ができる。



だけど…事情も知らずに貸すはずもない。

私にとっても一番気に入っているものだけど、母親にとってもだから。



「やっぱり…」


ステージに上がると、一番奥に帽子をかぶった変なおじさんとおばさんが私にカメラを向けている。



ぜぇぇったい…あれ…うちの親だ。
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