『若恋』榊の恋【完】



今にも上擦りそうになった声を静かに話すことで誤魔化した。


「榊さんの車ね?わかった。また後でね」



パタパタとりおさんの気配が遠ざかり。



「…ひかるちゃん」



口に両手を当てて顔を赤くしているひかるちゃんにどう声を掛けていいのかわからず、名を呼ぶだけで精一杯だった。


ソファーに広がるひかるちゃんの艶やかな髪。

シャンプーなのかコロンなのかお日さまの匂いがしている。

乱れた上着。

首筋には自分のものにしようとした痕がついている。
スカートの中にも記憶の底では指が探ったような気がする。



「ひかる…ちゃん」

ビクッ



ひかるちゃんの額に触れようとして、けれどできなかった。

触れたらきっとひかるちゃんを傷つける。

焦って抱こうとしたことを勘の良いひかるちゃんは気づいている。



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