『若恋』榊の恋【完】




「二階です」

「わかりました。行きましょう、ひかる」

普段は二階へは上がらないが、「入ります」声を掛けて入った。



「よう、榊」

意外にも冷静な成田が目の前に立っていた。


「りおさんは、若は?お腹の御子は無事ですか?」


焦りはマックスだ。


「あら、榊さん。帰るのは明日だって聞いてたのに。ひかるも帰ってきたの?」

「お姉ちゃん!」


仰天した。
りおさんが、成田が何事もなかったように目の前に立っている。


「榊さん?」

「りおさん、体は?」

「ああ、もうすぐ元気な赤ちゃんが生まれるわよ。それがどうかしたの?」


りおさんが下がってきたお腹を幸せそうに擦った。


「、若は?」


いったいどういうことなんだろう?


「坊っちゃんならひっくり返ってるぜ」

「りおさんが出血したと……」


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