吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)


現実の世界で自ら引き起こした注射器を咬んだ傷は完全に癒えてなかったが、血をうっかり飲まないように気をつけながら口の中に刺さっているガラス片を取っていると、破片にも指にも血がつかなくなった。


これは吸血鬼独自の再生能力が、僅かでも備わっているのではとイオタは推測した。


「やっぱり首ごと切り落とすのが確実かな」


イオタは自分だけが気づいたかもしれない情報を悟られないために、黒衣部隊の殺し方を思案している振りをしたのだが、シータは自分のことを言われたと勘違いしたのか、一瞬びっくりしたような顔をした。


「そうね。なんなら黒衣部隊をあなたの記憶の中でペットとして飼うことも有りだと思うわ」


女が冗談っぽく言う。

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