吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
症状を目視したイオタは血のついたできるだけ小さなガラスの破片をかき集め、再び下敷きになっている隊員の前に立つ。
「全員の血は揃ってないな……」イオタは破片を数え、落胆する。「肖像画の前にいた二人の隊員はケガしてなかったし、この部屋以外から突入した隊員、ジェーンさんを追った三人の隊員……ねぇ、血を流してない隊員はどれくらい残ってるかな?」
イオタは腕組みして尋ねるが、ケガをしている隊員はただ見詰めるだけで黙ったまま。
「考えるより、さっさと始末しよう」
イオタは下敷きになっている隊員の頭を触って指に血を付け、丁寧に舐め回したあと、顔を上げ、手のひらに集めたガラスの破片を口元まで持っていく。