吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
イオタは左肩から右脇までバッサリ斬られ、壁になってくれたシータの背中は深く縦に裂けた。
床の上に滑るように血が広がっていく。
「腕が鈍ったか……それとも刀の手入れが甘かったかな」
殺戮行為をした直後とは思えない穏やかな表情で、ガンマ少佐は日本刀をじっくり眺める。
それから「あっ!」と歯の隙間から抜けるような声を出したあと「刃こぼれしたな」と言って日本刀を放り投げ、部下が慌てて拾いにいく。
「さぁ~て、まだ生きてるかな」ガンマ少佐は膝を折って視線の位置を下げ、新種の生き物を発見したような目でイオタとシータを観察する。「これくらいで動けなくなるようじゃ吸血鬼としては失格だな……クククッ」