吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
「心配いらないわ。彼はあんなことでは死なない。あなたより身体能力は高いわ。それに標本としての価値はあなたと同等かもしれないから、人間達も簡単には始末しないわよ」
女の言葉からすると、この場面は自分が地下室で血を抜き取られた頃かもしれないとイオタは判断した。
「ぼくには価値なんてない」
陰にこもった声でシータがこぼす。
「あら、とぼけないでよ。あなたは私の血を飲んでいたから、過去を舞台として見る能力と、相手の血を吸い尽くすと、その体を手に入れる能力もあるでしょう」
「そんなことできないよ」
シータが慌てて否定する。