吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)


視界がぼやっと白みがかってきた。試験管の血液の量が限界に近づき、強制的に現実の世界へ還らされそうで、イオタは残りの黒衣部隊を始末しようと、ガツッと壁に引っ掛けた大鎌を軸に、浮力するイメージで穴の上へ。


再び劇場内に戻ったとき、ほとんどが下敷きになって息絶えていたが、数人の隊員が血を流し、呻きながら苦痛に耐えていた。


そんな中、一人の隊員がスポイトでアルファの胴体から血を採取していた。


こっちに気づくとその隊員は作業を中止した。


たぶん採取された血はジェーンさんに盗まれ、試験管の中身となるはず。


隊員を殺せばここへ来られないということになり、ガンマ少佐も生き返ってしまう。

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