蝉時雨
とはいえ、
納得はしたものの現状は変わらない。
京介に会うのはやっぱり恥ずかしい。
数学の冊子を手に
靴箱の前でしばらく考え込む。
冊子を受け取ったからには
京介と会わなきゃいけない。
でも、このままいつまでも
京介に会うのを渋っていても
どうしようもないし、
ただでさえ少ない涼ちゃんと会える時間を
浪費してしまうだけだ。
「‥‥まぁ、ちょうどいい口実になるかな」
と手に持った冊子を見つめながら呟く。
そして冊子をかばんに収めて「よしっ!!」と
一人気合いを入れて頷くと、
意を決して京介の家へ向かった。