蝉時雨
「‥‥だって」
彼にべたべたまとわりつく女なんて、
彼女からしたらおもしろくないに決まってる。
もしかしたらそれが原因で
圭織は帰っちゃったのかも。
それで喧嘩になっちゃったのかも。
「菜々子が邪魔ばかりしてたから‥‥」
圭織が来てからの数日間、
圭織に対して大人げないことばかりしていた。
でも、涼ちゃんのこと
困らせたかったわけじゃない。
こんな風に困らせるつもりなんてなかった。
「なんだ、そういうことか!あはは!」
しょんぼりと肩を落とした菜々子を見て
涼ちゃんが楽しそうに笑った。