蝉時雨
「あ‥‥、いや。
涼ちゃんの声がいつもと違って
怒ってるみたいだったから‥‥。」
わずかに張りつめた空気に
不安を感じながら答える。
菜々子が聞いちゃいけない話だったのかも。
すると涼ちゃんが観念したかのように
声をあげた。
視線の先の涼ちゃんが
思い切り眉尻を下げて申し訳なさそうに笑う。
「ははっ。聞かれてたか。
やっぱり起こしちゃったよな。ごめんな。」
「‥‥!!なんで?!」
「んー、ちょっと喧嘩しちゃってさ」
「もしかして、菜々子のせい?!」
「え?なんで菜々子のせいになる?」
「だって!!」