蝉時雨
「うん。弟の京介。
京介、この人が俺の彼女の圭織」
「どうも」
京介が軽くお辞儀をする。
「はじめまして。
写真で見たことあったけど
実際見てもやっぱりイケメンだ」
そう言って彼女はきれいな笑顔を浮かべる。
すると私の姿に気づいた圭織が
視線を私の方へ向けた。
それに気付いた涼ちゃんが口を開く。
「圭織、その子が‥‥」
「菜々子ちゃんでしょう!?」
涼ちゃんが言い終わる前に、
声をあげて圭織が近づいてくる。
にこにこと嬉しそうに笑う圭織に
私は思いっきり眉間に皺をよせた。
ひるんでる場合じゃない。
この人は私の最大の敵なんだから。