炭坑の子供たち(1)

試合開始

 ベースは、何処かから拾って来た座布団だから

例え、相手の打者にヒットを打たれても

足で遠くに蹴って、アウトに出来る。

点数は、固い土の上に、学校から、黙って拝借して来たチョークか、棒切れで書いたりする。

たまに、デッドボールが、打者の頭に当たって、のたうち回ると

キャッチャーは

「大丈夫か?」

と、心配そうに覗き込むが、やっぱり顔は笑っている。

いくら、ゴムで出来た軟球とは言え、当たれば、それなりに痛い

大きく弾んでも、やっぱり痛い

当てられた子は、次の打席でヒットを打つと

わざとバットを、ピッチャーの方に振り投げていく


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