炭坑の子供たち(1)
 そんなある日の昼下がり

その組事務所が、殴り込みをかけられた。

勇敢にも、たった1人で殴り込みをかけたのである。

それは、近所のやかましいばあさんで

「あんたら、いい加減にせんねっ]

「何の事ね?」

「あんたらのお陰で、孫がおかしゅうになってしもうたたい」

「何の事か、さっぱり分からん」

「このままやったら、三井に言うて、出て行って貰うばい」

ばあさんが言うには、2人の孫達を

ばあさんか母親が叱ると、ヤクザの口調を真似して

「しゃしい(うるさい)のう、きさん、打ち殺してしまうぞ」

「きさん、くらしあぐるぞ、(殴るぞ)」

と、ばあさんや母親に言うらしいのだ。

その殴り込み以来、ヤクザあんちゃん達は

社宅に居る時に限り、子供の姿が見えると

「僕」「君」「やり給え」など、すこぶる言葉づかい良くなった。













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