炭坑の子供たち(1)
 又、男の子達は、よくちゃんばらをするが

腰のバンドに、刀代わりの棒を差し

タオルで鞍馬天狗の覆面や、鼠小僧のほっかむり

タオルを2枚使えば、快傑黒頭巾にもなれる。

風呂敷をマントみたいにする子や、わざわざユカタを着て来る子もいた。

斬り込み、殴り込みと称しては、ひもでタスキがけをしたり

佐々木小次郎と言っては、長い棒を背中に担いだり

片手を服の中に入れて、丹下左膳を真似たりしていた。

そして、意味もよく分からないのに

「ちょこざいな」

「こしゃくな」

と、昔言葉を使い

いざ合戦ともなれば

どの子もが、新聞紙でこしらえたカブトをかぶり

少しでも、本物に近付こうとしていた。



< 58 / 98 >

この作品をシェア

pagetop