炭坑の子供たち(1)
 お助けや、かくれごんじょと言う、鬼ごっこをする時

笹薮の中に隠れたり、社宅の屋根に張り付いたりするが

よく隠れたがったのが、四軒社宅の横にあった共同便所で

ここが怪しいと睨んだオニは

便所の板壁に耳を付けて、中の音を聞いているが

中からは、それが丸見えなので

中にひそんだ2人は、必死に笑いをこらえて

持ち込んだ石を、ボトンと落として音を出し

誰かがウンコをしている様に装うが

たっぷりとオツリが返ってくる。

オニが、それでも怪しいと思えば

ふし穴から中を覗くが、暗くて何も見えない

そこで、上の隙間から、石を落としたり

激しく板壁を蹴り上げて、中の奴を追い出そうとするが

用を足していたおやじが出て来て

「こらあっ、フンづまりになるやないかっ」

と、怒鳴られたりする。

便所に隠れるのは、まだマシな方で

ルール違反のズルい奴になると

家に逃げ込んで、押入れの中に隠れ

絶対に見つかる筈がなかった。



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