炭坑の子供たち(1)

炭住街の遊び

子供達の遊び場は、主に通りである。

男の子達は、かくれごんじょと言うかくれんぼをしたり

お助け、缶けり、ちゃんばらなどをしているが

特に流行ったのは、パッチンと言うメンコ遊びである。

パッチンには、快傑黒頭巾や、野球選手、相撲取りの絵や写真がのっていて

それを、積み上げて同じ高さを賭け

2枚返しなどの、ルールに従ったゲームをして

勝てば、相手のパッチンを持ち帰れるのである。

もう一つあった、ラムネと言う遊びは

ラムネ玉を、地面に何ヶ所も掘った穴に、順番に手ではじいて入れ

勝てば、やっぱり相手のラムネ玉を、賭けた分そっくり持って帰れるのである。

そんなゲームに夢中になると

辺りが暗くなって、よく見えないのに、遊び続け

母親がやって来て

「早よう帰らんね」

と、声をかけても、なかなか帰らず

やがて、おやじがやって来る。

「早よう帰らんか、帰らんと、めしを食わさんぞ」

と、言われても、渋って帰らず

しまいには、黙って頭をひっぱたかれ

耳を引っ張られて、連れ帰られるのが常であった。


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