炭坑の子供たち(1)
子供達が、通りに集まって、やかましく遊んでいると

近くのおっさんが、窓を開けて

「こらあっ、しゃあしいぞっ、静かにせんかっ、三番方が寝られんぞっ」

とたんに、子供達は、その辺から1人も居なくなってしまった。

その「三番方が寝られんぞ」と言われると

どんなに遊びが盛り上がっていても

誰もが、黙って、他の場所へと移動していた。

ぐっすり眠れないまま夜勤に出て

もし怪我でもされたら、大変だからである。

ちなみに、三番方とは、夜に出て、翌朝帰って来る勤務体系である。

炭住街では、子供達を追い払うのに、これ以上の言葉はなかった。



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