炭坑の子供たち(1)
通りで遊んでいると、時折り、珍しい人がやって来る。

今でこそ何でもないが、当時は、スター並みの扱いであった。

それは外国人で、子供達は、ゾロゾロと隣町まで付いて行った。

板付基地のアメリカ兵が、ジープに乗って、何人もやって来ると

子供達は、ニコニコ笑いながら近付いて、満面の笑みで握手を求め

見た事もないおじさんなんかが、南方の島で、戦死していたり

じいちゃん、ばあちゃんが、空襲で亡くなっていたりして、

多少、アメリカ兵に恨みを持っている子もいたが

アメリカ兵は、ニコニコ笑いながら、ガムやチョコレートをくれたりするので

「サンキュー、べりマッチ」

と、戦争での出来事は水に流して、直ぐに友達になってしまった。

やっぱり、食べ物の力は偉大である。

又、昼間から酔っ払ったじいさんが、千鳥足で通りかかると

子供達は、その後ろに一列に並んで、同じ様にフラフラと付いて行った。




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