炭坑の子供たち(1)
 もうそうなると、口でしか勝てないので

一人がわざと大きな声で

「今、何時頃や?」

「もう6時たい」

「何っ、もう6時、もうろくじじいかっ」

「そうや、もうろくじじいたい」

なんて言ったりすると

全員が洗面器ですくった熱湯を浴びせられる。

今度は仕返しに

油断しているじいさんの背後からそっと2人で近付いて

背中に貼ったこう薬を、一気に3、4枚ひっぱがしてやると

じいさんは、ヒーッと悲鳴を上げる。

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