炭坑の子供たち(1)

炭住街の朝食

 朝食の支度をする母親達は

午前4時頃には、もう起きていた。

先ず、昨夜から水につけていた、麦と米を釜に入れ

手の平を米に押し付けて、手首の所で水加減を計り

かまどにマキをくべて、ご飯を炊きながら

煮炊きものをする、七輪をおこすのである。

勿論、子供達は、まだグッスリと眠っている。

かまどや七輪で使うマキを割るのは、子供の仕事であるが

そのマキは、何処の家も、父親が坑内から持って帰っていた。

どの炭坑夫もが、大きなショルダーバッグを、肩にかけていた。

とは言っても、そんなファショナブル物ではなく

殆んどが、自作の袋であり、麻で出来た頑丈な物であった。

その中に、丁度いい長さに切った坑木や、オコリと呼ばれる石炭を入れて

こっそりと、いや、堂々と持って帰っていた。


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