Reminiscence

南の街へは1時間ほどで到着した。
南の街は混乱しているようで、フェンはとくに引き留められもせず街に入ることができた。
姿はいつも通り、眼帯にフードだ。
もっとも、眼帯は黄金のマナだけは完全に封印してくれていなかったが、この程度なら少しマナの量の多い人間程度なのでそこまで気にする必要はないと思われた。
フェンは人々の噂を注意深く聞いた。
その内容をまとめると、昨日まで南の街には瘴気が漂っていて、倒れる人が続出した。
しかし、昨日の晩突然瘴気が晴れ、倒れていた人が次々と起きだしてきているとのことだった。
フェンはそれを聞いて、この街が救われたのだと確信した。
その対価は……フェンにとっては重く苦しいものだったが。