Reminiscence
フェンは心が揺れるのを感じた。
旅をすることにあこがれはある。
しかし、それでは家族と離れることになってしまう。
フェンはまだ13歳で、幼かった。
また、村は貧しく、働ける者が抜けてしまうことは痛手になる。
もともとよそから来た旅人ならこの村を出ていくのなら、引き留める人は少ないだろうが、フェンも同行するとなると話は別となる。
フェンの暮らす村を出るということは、嫁ぐか追放するかに限られる。
出稼ぎならまだしも、無理やり旅にでたならば、二度と戻ってはこれないだろう。
残された家族が迫害される、ということもフェンは祖父から聞いて知っていた。
「できません……」
フェンはうつむいて首を横に振った。
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