Reminiscence
「フェン」
フェンの家のまえで旅人がフェンを呼んだ。
「ロッティ、私もう行くね」
「うん。また会えるといいね」
フェンはロッティから離れると、旅人の元へ駆けつけた。
「最後に挨拶をしていきなさい、フェン」
旅人はフェンの背中を押すと、家族の前へ押しやった。
「フェン、旅は過酷だ。村にいれば、少し貧しいが、お前も人並みに幸せに、そして安全に暮らせる。それでもいくのかい?」
父親はフェンに聞いた。
「行きたい。私、大陸のすべての国にいってみたいの。話に聞いただけじゃなくて、ちゃんと自分の目でみて、歩いてみたい」
フェンの父親は苦笑して小さく溜息をつくと、フェンを抱きしめて、行ってきなさい、と一言告げた。

< 32 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop