Reminiscence
「教えてほしいんです。フェンの本当の名前をミカゲ先生が知ってるのかどうか」
「それを聞く理由がわからないわね」
「……実は、フェンの育ての親はミカゲ先生なのではないかと思っています」
それならば、フェンの本当の名前を知っているはずだ。
フェンだって最初からウィザードだったわけでもなく、精霊との契約者ではなかったはずだ。
その時ならば、フェンだって本名を名乗っているはずだった。
しかし、ティーの予想とは異なり、ミカゲは首を縦に振らなかった。
「フェンの師匠は私ではないわ。……うん、私がフェンと出会ったのはネニャフルで、2人が旅を初めて間もない頃だったけれど、その頃には立派なウィザードの弟子だったわ。だから、私にも本名は名乗らなかったのよ」
もちろん、その当時のことであり、ミカゲはとっくにフェンの本名も、今フェンが持っている秘密についても知っていたが、そのことは言わなかった。
「そう……ですか。では、そのフェンの師匠は」
「私の愛する人よ。……もうこの世にはいないけれどね。そしてフェンの騎士になった理由ね」
「え、あ……すみません。……え、フェンが?」
「そう」
ミカゲはふっと口元に笑みを浮かべた。
「フェンと私は彼を通じて繋がってるの。だから、私はフェンに必要以上に干渉しないし、それはフェンも同じよ。ごめんね、力になれなくて」
「いいえ。こちらこそお邪魔しちゃって」
ティーは一言挨拶をすると、部屋から出て行った。
ミカゲは目を閉じてティーが去っていくのを感じると、堪えかねたのかぷっと吹き出した。
「魔法を勉強してたみたいだけど、まだまだね。ウィザードは嘘はつかないけれども、本当のことだって言うとは限らないのに」
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