担任は優しい旦那様
『いらっしゃい、
どうしたの?』

連絡もしないで
来るなんて珍しい。

玄関先じゃあれだし、
今まだ寒い冬だから
恋を中に入れて
ドアを閉めた。

『その辺に座ってて』

私はキッチンに向かい
温かい物をいれた。

三人分の
お茶を持って
リビングに戻る。

「華蓮」

お茶の乗った
お盆を置くと
恋が抱き着いて来た。

『恋?』

果たして
駄目だったのだろうか?

私から
いそいそと
どいた恋は
座り直し、話し始めた。

「ごめん、取り乱した」

私は抱き着かれるの
嫌いじゃないから
別にいいんだけど……

『大丈夫だよ』

それより、本題本題。

「実は、
早く華蓮たちに
言いたかったんだ」

どうだったんだろう?

「結論から言うと
認めてもらえた」

やったね!!

『よかったね恋』

何だか、自分の
ことの様に嬉しい。

「最初はね、
やっぱり緊張して
上手く話せなかったの」

話し始めた恋は
とても楽しそうで
本当によかった。

最後に左京先生の
お母様の写真を
見せてくれた。

若い……

実年齢は
知らないけど
写真を見る限りは
かなり若い。

三十歳の息子が
居る様には見えない。

『左京先生の
お母様って幾つ?』

二十歳で
産んだとしても
五十歳よね?

「四十九歳だって」

予想とあまり
変わらなかったわけか。

『十九歳で
産んだってことよな?』

うちのお母さんは
幾つだったっけ?
忘れちゃった。

「そうだって
笑いながら
話してくれたんだよ」

「それでね、なんと
お父様との出会いが
二人と同じなんだよ」

興奮気味に恋が話す。

へぇ〜
身近に同じ人が
居るとは驚きだ。

『私たちの話しもした?』

左京先生ならしそうだ。

「うん、
お母様たちの
話しが出た時に
同じ状況で
結婚した友人が
居るって話したら
今度会いたいって
言ってたよ」

あらら……

話したのは恋か。

『じゃぁ、
後で靖紀にメール
しとかなきゃな』

マー君はそんな
暢気なことを言っている。

まぁいいか……
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