担任は優しい旦那様
『華蓮、理香ちゃん
来週の金曜日に
五人で
食事することになった』

それはまた……

『突然だね』

でも、それが
いいのかも知れない。

「分かりました……」

理香はやっぱり
乗り気じゃない。

『私たちが
隣に居るから大丈夫だよ』

***一週間後***

私たちは、
佐川家で
理香の両親を含め、
五人でリビングの
テーブルに座ってる。

『今日はわざわざ
此処まで足を運んで頂き
ありがとうございます』

代表してマー君が
挨拶をした。

理香は何時も通り、
私たちの間の
席に座ってる。

中々誰も話そうしない。

シーンと静まり返る
昼のリビングは
家じゃないみたいだ。

『ほら、
空気重いぞ
肩の力抜いて』

やっぱり、マー君は凄いな。

昔から空気を
和らげる力がある。

高校時代も
生徒同士の喧嘩を
よくやめさせてたっけ。

他の教師が
仲介に入っても
悪化するだけなのに
マー君が言うと
何故かすぐ
治まるんだよね。

『お二人の中で
離婚は決定事項
なんですよね?』

私は確信をついて
理香の両親に
質問をぶつけた。

折角、マー君が
場の雰囲気を
和ませてくれたけど
私は延ばし延ばしに
するのが嫌だった。

その言葉に
理香が小さく
反応したけど
両側から手を握った。

「ええ、そうです」

迷いなく淀みなく
答えた理香の父親の
表情は読めなかった。

「理香は、
どっちについて来る?」

また理香が
私たちにしか
わからないくらいに
小さく反応した。

『理香、
本当の気持ちを
今此処で
ぶつけていいんだよ?』

さっき握った手を
更に強く握り、
そんな言葉をかけた。
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