担任は優しい旦那様
「私は
どっちにも
ついて行かない」

二人の目を見て
はっきりと言った。

「じゃぁ、
住む所はどうするんだ」

言いたいことを
察した私たちは
理香の頭に
手を乗せた。

『今と変わらず
此処に住めば
いいだけの話です』

そう、
此処に居れば
いいだけだ。

「それでは、
二人に迷惑じゃ……」

今まで一言も
話さなかった
理香の母親が
口を開いた。

『家主の俺が
言ってるんですから
いいんですよ』

でも……と言いながら
私の方を向いた。

それにマー君も
気付いたらしく
言葉を続ける。

『あぁ、
それなら大丈夫ですよ
妻も同じ意見ですから』

二人が
私を凝視した。

「妹じゃなかったのか」

普通は
そう思っても変ではない。

私は理香と同い年だし、
童顔のせいか
よく実年齢より下に
見られることもある。

「二人が結婚したのは
華蓮が
高二の時なんだって」

父親の呟きに
答えたのは理香だった。

説明の手間が省けて楽だ。

『理香、
説明ありがとう』

「どういたしまして」

理香が
少し笑ったので
私は内心ホッとした。

『私も理香が
此処に居たいなら
いいですよ』

それを聞いた
二人は
また黙ってしまった。

結果的に理香は
これからも
此処で
暮らすことになった。

まぁ、私たちが
いいと言っているし
理香もどっちにも
ついて行かないと
言っていたから
当然の結果なんだけどね。

かれこれ二時間弱話をして
二人は帰って行った。
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