担任は優しい旦那様
つい話が
弾んでしまい、
理香が聴いてくるまで
しゃべってしまった。

「誰?」

まだちょっと
情緒不安定な理香は
学生時代より
人見知りに
なった気がする。

『高校時代の同級生だよ』

結局、四人で
相席となった。

『会うのは
初めてだっけ?』

三人は自己紹介を始めた。

なんだか
微笑ましい光景だ。

私は今日の出来事を
進行形でグチっている。

さっきっから
携帯が鳴っているが
気にせず、話を続ける。

ファミレスを出たのは
それから
三時間後のことだった。

家に帰ると
玄関に立ってる
マー君がいた。

『何処に行ってたんだ?』

第一声がそれか。

予想通りだけど。

『別に何処だって
いいじゃない』

私は
出掛けた時と同じ様に
理香の手を引いて
洗面所に向かった。

その後は一言も
口をきかなかった。

何にも
気付いてないんだから……

「マー君のバーカ」と

心の中で
悪態をついた。

あれから、
口をきかず
一ヶ月が過ぎて
十二月になった。

もうすぐ、
結婚記念日だけど
今年は無理だろう。

そして更に、
二ヶ月経って
今日から二月になった。

隣人に会えば、
イライラなんて
微塵も見せず
"一応"
挨拶はする。

向こうが
気付いてるかは
知ったことではない。

そんな夫婦喧嘩に
終止符が打たれたのは
それから三ヶ月経った
五月の始め
高校時代の同窓会の
絢菜からメールが来たのが
きっかけだった。

《いい加減
仲直りしなさいよ》

メールの最後の部分を
読んで苦笑いした。
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