お金と私と彼と
「春川。」
黒縁の眼鏡を掛けた藍が吹き抜けの二階からエントランスのソファーに座ってる美麓に話し掛けた。
「はい?」
美麓は上を見上げる。
「後もう少しで終わるから待っていろ。
杏南はどうした?」
「杏南さんなら帰りましたよ?」
藍は呆れて溜息をついた。
「全くあの馬鹿は。
夜飯は食べたか?」
美麓は小さくあははと笑い藍に言った。
「カフェで少し食べました。」
「なら仕事終わったら食べに行くか。」
藍は螺旋階段でエントランスに降りてくる。
「いえ!別に大丈夫です!」
美麓は丁重にお断りした。
お金も無いし社長さんが食べに行くレストランなど高級なのに決まってる。
美麓はそう思った。
「金なら心配するな。
奢ってやる。
何が食べたい?」