【更新停止中】家政夫くんの攻略法



「あめ...」


「そう。ブドウ味は好き?」



こくりと頷く男の子は、もうほんとにキュート。


わたしがあげたキャンディーには、白い鳩がデザインされている。


鳩は平和と希望の象徴だって、芙由子叔母さんから聞いたことがある。


少しでも希望をもって欲しいから。



「絶対だいじょうぶだよ。

おつかい行けそう?」



安心させるように微笑むと、男の子は思いっきり首を縦にふる。



「よし、じゃあ―――って、えっ」



続きを言おうとしたのに、男の子はまたパーっと走り出した。


目で追うと、男の子はまっすぐにスーパーの中に引き込まれていった。


学ラン姿の長身の男の横を通り過ぎて。



「またちびっこに構ってたのか」


「保育園の子たちを思い出すとほっとけないんだもんっ」



右京くんは呆れたように笑うと、重そうなスーパーの袋を提げて歩き出した。


わたしもポーチをしまって、彼を追いかける。


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