【更新停止中】家政夫くんの攻略法

家政夫くんと敏腕リーマン


side右京


「小春のお父さん帰ってきたの?」

「うん。昨日ね〜」


放課後、迎えに来ると小春と福島の話し声が聞こえた。


「中村さんち、お父さんいなかったの?」

「もー。なんのために、坂口が家政夫やってたと思ってんのよ」


また頼が興味津々に会話に入る。

やけに小春との距離が近くて気になる。


だが割って入るのも少し気がひける。


小春を待とうと壁に寄り掛かる。



...個人情報をこういうときに見たくないけど...。



リュックから一冊のファイルを取り出す。


このファイルは家政婦が自分のお客様の情報を知るために、契約の際に書いてもらう顧客情報が詰まったもの。



俺の場合は小春しかいないから、すごく見やすいんだけど。


え、あの大手の総合商社じゃないか!

...しかも小春の母さんも有名な出版社で働いてるよな。



瞬時に年収を考えてしまう自分が嫌だ。



そりゃあ一人娘のために家政婦雇えるわけだ。

家政婦一人雇うのだって、結構な額がかかる。


俺もバイト代として、かなりもらってるし...。

ああ、やめだやめ。


小春が来たのを確認し、静かにファイルをリュックへ片付ける。


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