月下の踊り子
これ以上、最後を覚悟した舞歌を見るのは辛かった。
話を切り出すなら今しかない。
これを言ってしまったら後戻りは出来ない。
だが、もう既に覚悟は出来ている。
「逃げよう」
「え」
「この場所から脱走するんだ。舞歌の夢は私が終わらせたりなんかしない」
躊躇。
舞歌は明らかに動揺していた。
当然だろう。他の囚人ならまだしも看守が脱走話を持ちかけてきたのだ。
舞歌は答えない。
牢に近付き、舞歌への説得を続けようとする。