月下の踊り子



「舞歌……」



名前を呼ばれ、くるりと振り返る舞歌。


月明かりを浴び、幻影的なその姿。


絵になるとはこう言う事を言うのだろう。



「良かった」



何故か舞歌は安堵の溜息を吐いた。


その理由は分からない。



「何が良かったんだ?」

「お別れの前にもう一度こうして羽鳥さんに逢えた事が、ですよ」



その真っ直ぐな瞳を向けられ、つい私は目を背けてしまった。


悲哀も感傷もない瞳。


それが逆にとても悲しかった。


舞歌は私の表情を伺うように顔を覗き込む。



「羽鳥さん、私の刑の執行日が決まったって知ってますよね?」

「ああ、勿論」

「そうですよね。だから私、羽鳥さんに最後――」

「舞歌」



舞歌の言葉を閉ざす。




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