月下の踊り子
「羽鳥。お前、酒強いんだな」
「別に強くないさ。お前のペースに合わせてたら私も潰れてた」
「…………」
「おいっ寝るな」
「……おっ、悪いな」
「トイレで吐くか?」
「いや、頭痛いだけで吐き気はない。っていうかやけにお節介焼きになったな。お前、本当に羽鳥だろうな?すげぇ変わったぞ」
「ああ、そうだな」
「…………」
「どうした?」
「いや、気分を害さないんだなって。お前、自分が変わって行くのが嫌だって言ってたじゃないか」
「昔の事だ」
ふっと山口は微笑を浮かべた。
預けていた肩を戻し、自分自身の力で立ち上がる。
「昔の事、か。そうかそうか。んじゃ俺は自分の持ち場につくよ。お前も頑張れよ」
「ああ」
そうして二人は別々の道を歩き出した。