『仰せのままに、お嬢様』《完》
幾度となく?

そんなのあたし、少しも
気づいてなかった。


「そ、それで?」


「――リリカ様の様子を
観察しているように、
見受けられました」


「あたしを――…!?」


ドキンと胸が跳ねる。
不安が少し大きくなって、
まとわりついた。


「そんな。
どうしてあたしを……」


「それはわかりかねますが、
しかし――…」


楓さんは、真剣な顔で
あたしと遼人さんを交互に見る。


「本日は、お早めにお戻りに
なった方がよろしいかと
存じます」


「う、うん………」


あたしはコクコクと頷いた。


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