放課後は、秘密の時間…
重くなったまぶたをゆっくりと降ろした、そのとき。


――バンッ!


勢いよく、戸が引かれる音がした。


「先生っ!!」


なんで……?

あたし、夢でも見てるの?


だって、『彼』の声が聞こえるなんて――……


「なっ……なんでお前がここに……」

「センセ……てめぇ何してんだよ!」

「こ、これは――」

「るせぇっ、ぶっ殺してやるっ!」


怒鳴り声が響くと同時に、あたしの身体を固く押さえていた手が、引き剥がされるように離れていった。


すぐに身体を起こしたかったけど、指先すら自由に動かせなくて。

消えようとしていく意識をどうにか保ち続けることが、今のあたしにできる精一杯だった。


だけど、それに抵抗することもできなくなって……

何かがぶつかり合う音を聞いたのを最後に、あたしはついに意識を手放した。



落ちていった、真っ暗な夢の中。


あたしの身体は、雲みたいにふわふわ揺れていて。

毛布に包まれているみたいに、暖かくて。


なぜか、すごく幸せな気持ちだった――……

< 107 / 344 >

この作品をシェア

pagetop