放課後は、秘密の時間…
二人の間に大きな壁を残したまま、無機質な毎日は過ぎていった。


確実に、何かが壊れてる。

多分それは、もう元には戻せない。


戻せたとしても、目に見えないほどの小さなヒビが無数に残る。

そしてそれは、いつか大きく伸びて、全てを壊してしまうんだろう。


実習は、そんな不安を払うのには、最適なものだった。

忙しさに、たった一瞬でも彼女のことを忘れられることができる。


あかりのことを考える時間は、俺にとって幸せそのものといえるものだったけれど、今は全く逆の作用をもたらしていた。



一日の仕事を終えた俺が部屋でぼんやりと外を眺めていると、携帯が鳴り出した。

発信しているのは、あかりだ。


また、別れたいと言われるのかもしれない。

それならば、このまま電源を切って、一生聞こえないようにしてしまおうか。


だけど、それでも彼女の声を聞きたいという思いには、勝てなかった。


「もしもし?」

「大也……あたし、もう一度、会って話したい」


受話器ごしに聞こえてくるあかりの声は、ひどく辛そうなものだった。

だから、つい、頷いてしまったんだ。


「わかった」


約束したのは、実習が終わった次の日にあたる、土曜日。


――それは多分……俺が君を失う日だ。

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